和田課長 飛び込み乗車の 軽やかさ [心] 普段は部長と部下との板ばさみに悩む中間管理職の和田課長.会社では軽やかに振舞えない和田課長だが,飛び込み乗車の時は必要以上に軽やかだ.
夢をかけ ボーキサイトを 掘る岡田[心] 脱サラをしてボーキサイトを掘りに日本を去った同僚の岡田. 岡田の別れ際の言葉,「お前の心のボーキサイトは掘り当てられたのか」が心に突き刺さる.
アリを食う アリクイ心に ウインナー[心] アリを食べながらアリクイは思う.「アリみたいにつまらないもの食べたくないなあ.ウインナー食いてえなあ」.アリが好きではないのにアリクイと呼ばれる動物の悲しさ.
イチゴ狩り はしゃぐ組長 若頭[心] とある暴力団恒例の春の組員旅行.組長の提案によりイチゴ狩りに行く一同.密かにイチゴ好きの組長は誰よりもはしゃぐ.そして,同じくはしゃぐ密かにイチゴ好きの若頭だ.
イチゴ好き 組長食べる イチゴかな[心] とある暴力団の組長の好物はイチゴ.可愛らしい好物を誰にも言えない組長.若頭には内緒に食べるイチゴの甘さだ.
子曰く 犬が話すと 語尾にワン[心] その昔孔子は弟子達に言った. 「犬が喋ったならば語尾に『ワン』が付くだろう」 弟子達は感心し,犬が話す言葉には語尾に『ワン』を付けることにしたんだワン.
パン祭り 米屋も集める シールかな[心] 今年もパンに貼られたシールを集めればフランス製の白い皿が貰える季節がやって来た. 「パンなんか食えるか」と日頃から言いがちな米屋もフランス製の白い皿のためならパンだって食べて集める季節だ.
ワカメなど 食えるものかと 昆布派言い[心] 人間は二種類に分けることができる.昆布寄りの人間,ワカメ寄りの人間だ.だからどうということはない.
カレーより ラーメン好きな サタジット[心] インド人留学生のサタジットさん.人には言えないがカレーよりラーメンの方が好きだ. 「ラーメン チョウウマイヨ.カレーヨリ ウマイヨ」 日本に来てカレーより旨いものを発見したサタジットさんの苦悩だ.
「自慢なし」 暖簾に書かれた 潔さ[心] 「味自慢」と暖簾に書かれた祭りの露店が多い中,「たこ焼き 源太」の暖簾には「自慢なし」の文字. 「味は特に自慢するほど旨くないけど,俺なりにできることはやったつもりだ」と語る店主の源さんの潔さだ.
刺身乗せ 酢飯を食べた 田村麻呂[心] 酢飯に刺身を乗せて食べると旨いんじゃないか.そんな坂上田村麻呂の思いつきで生まれた寿司.征夷大将軍であり,歴史上初めての寿司職人,坂上田村麻呂だ.
我が先祖 ゲルマン人と 移動せり[心] 祖父が語るところによると,我が家系の先祖はゲルマン人の大移動に加わったという.由緒正しい家系に祖父も誇らしげだ.
髪よりも ヒゲが生えたる 赤子かな[心] 髪の毛よりも先にヒゲがミツテル君(3ヶ月).泣きながら右手でジョリジョリと顎を擦る貫禄.
通食す 産地直送 ナタデココ[心] 「やっぱり新鮮なナタデココは違うよなあ.プリプリしてるよなあ」 食通がこだわりの産地直送ナタデココ.歯茎に嬉しいプリプリとした食感だ.
祖父の趣味 歯ブラシ作りの ヒゲ細工[心] 祖父の趣味はヒゲ細工.ヒゲを束ねて作る歯ブラシは歯の隙間の汚れを残さず取ると近所でも評判だ.
野性力 ジャングルジムで 試す小田[心] 「最近野生の力に目覚めたよ」と言い張る同じクラスの小田君.学校の休み時間にジャングルジムで目覚めた野性の力を試している.
豆を撒く 神父心の 複雑さ[心] 「郷に入って郷に従え」の言葉に従い今年から教会で豆撒きを始めた神父アントニオ.「鬼は外」と叫びつつも心に思う「サタン外」.
セレブの子 フォアグラ味は 母の味[心] 高級フランス料理店にて. 「あっ,この料理お母さんの味がする」 と言ってフォアグラを頬張るお金持ちの綾小路房麻呂君(6歳). 「このオマール海老はおばあちゃんの味だ」 厨房から顔を覗かせる複雑な表情のシェフだ.
汗ならぬ 寝汁流れる 親父かな[心] 父の悩みは,寝苦しい夜に汗ならぬ汁が流れることらしい.毛穴から流れるほんのりと甘い汁がべとつく.
ビデボタン 押して大人へ 中学生[心] これまで「ビデボタン」の意味も分からず押していた小学生の自分.これからの自分は「ビデボタン」の意味を理解してドキドキしながら押す中学生の自分.岡田司郎君(13歳)は大人への一歩を踏み出したばかりだ.
ハム思う 冷蔵庫にある ハム思う[心] お歳暮に貰った高級ハムを冷蔵庫に入れた下村一さん(58歳).仕事中もハムのことで頭が一杯で何も手に付かない下村さんだ.
君達は 例えるならば ギャザーなし[心] その昔孔子の弟子達は孔子にこう尋ねた. 「先生,私達に足りないものはなんでしょうか」 孔子は自分の弟子達のこう答えた. 「うむ.例えるならば吸収力は確かに凄いかもしれないが,ギャザーがないようなもの.横漏…
日常の 隙間隙間に 隙間寿司[心] 本棚と本と本の間,電車のシートで隣り合った人との間,隣の家の敷地と自分の家の敷地との間.そんな隙間に握り寿司を置いてみる.
餅つきに 呼ばれた力士 ただのデブ[心] 地元の子ども会で開かれた餅つき大会.今年は大相撲の力士を呼んで盛り上げようと力を入れている. ところが餅つき大会にやって来たのはどう見ても商店街の金物屋の太ったオヤジ.たるみきった肉体のマワシ姿だ.餅つ…
「ベ・ランダ」と 書いて感じる スペイン人[心] 「ベ・ランダ」と書くと何かスペイン人っぽいよな.そういえば「バル・コニー」って書くとオーストリア人っぽいよな.朝晩の冷え込みを感じながら思うどうでもいいこと.久蔵81回目の秋は無駄に過ぎて行く.
すき焼きの 豆腐の代わりに プリン入れ[心] すき焼きをやった.豆腐を買い忘れたので代わりにプリンを入れてみた.ちょっぴり懐かしい味がした.
新国技 スリム相撲の 格好良さ[心] 相撲の人気のなさを改善するためデブ禁止のスリム相撲を国技として採用.格好の良いスリムな男子がマワシを巻いて歌とダンスでぶつかり合う.女子の黄色い声援が国技館に響く.
鼻の穴 臭い我が身の 不幸かな[心] 鼻の穴の中の匂いが臭い.つまり,常に吸い込む空気が臭い.鼻の穴は空気の出入り口か,地獄へと続く穴なのか.
幼稚園 合唱会で ホーチミン[心] 息子の通う幼稚園の合唱会で歌われたのは,ベトナムの歌「ホーチミン師」.保護者が集まる会場に,園児達の歌うどこか悲しげなメロディーの「ホーチミン師」が響き渡る.
服部の ノートに名付けた 忍法帳 [心] 同じクラスの服部君が使っているのノートに勝手に「忍法帳」と名付け,こっそり心の中でそう読んでいるケムマキ君.ただの国語のノートのはずなのに,最近中身が気になって仕方がないケムマキ君だ.